「普段の食事の時も、テーブルセッティングなど全体の食の空間をこだわるのが好きだったんです。フルコースのメニュー構成を考えるのもおもしろかったですね」 幼稚園教諭を経て、29歳のときに、教え子を送り出したのを機に退職。在職中も、オリジナルレシピをコンクールへ応募するなど、料理への想いは決して色あせてはいなかった。
料理学校、エコール辻の入学を経て、フランスへ渡り、本場三ツ星レストランで料理修業を積んだ。どうせやるなら、徹底的に叩きこまれたほうがいい。 そんな思いから、がむしゃらに取り組んだ2年弱の修業を経て帰国したマカロンさん。知人の誘いもあり、口コミで出張料理人としての仕事が増えていく。 「オーダーをいただいたら、メールや電話だけでは相手の方が求めているものは分りませんので、必ずお会いして、出来るだけ要望を汲みとるようにします」
言葉だけでは伝わらない依頼者の要望を、実際に会場に足を運んだり、じっくりと話をすることで、要望に近いメニュー、セッティングのイメージを膨らませる。それは、『料理を作る』だけではおさまらない。お客様の希望にマカロンさんの色も添えた、よりクリエイティブなもの。
出張料理人として活躍する一方、料理教室も主宰している。それは、幼稚園教諭として働いていたころに知った、教える楽しさをマカロンさん自身が感じていたからだった。マカロンさんの料理教室は紙に書かれたレシピをただ実行するだけではない。 味、匂い、舌触り、温度、五感を使って、料理を作り出す。自分で料理の答えを出していく、そんな紙の中では伝えられない料理の経験を、学ぶことができる。 「料理のレシピは伝えられても、体験だけは伝えられません。言われてやる、だけではなく、自分で味を探していくほうが料理は楽しむことができます」
幼いころから親しんでいた料理、料理と並行して学んでいた油絵、そして幼稚園教諭としての経験。すべての「体験」がマカロンさんの料理人のバッグボーンとなっている。 教える楽しみ。作る楽しみ。どちらも楽しくできるもので、自分になくてはならないもの、とマカロンさん。 これからは、2つの軸をより確固たるものにしていく一方で、表現という形の中で、今度昔から好きだった『書く』という手段を試みる。
「まだ形にはなっていませんが、書きたいことは山ほどあるんです」 出張料理人と料理教室。今は寝る時間もないほど多忙を極めている。しかし、睡眠不足でも楽しくて頑張れる。 自分の頑張れる範囲の中でやり続ける。 マカロンさんの表現の世界は、これからも更に広がっていきそうだ。
自由が丘の閑静な住宅街にある料理教室「Le Macaron YUKA.」。今回は、料理教室、出張料理人として活躍するマカロン由香さんにお話を聞いた。
料理だけではなく、テーブルのコーディネイトなど、「食事をいただくための空間」を完全オーダーメイド制で作り上げる。芸術性も必要とするその出張料理人のことを「フードクリエイター」とマカロン由香さんは表現された。 小さい頃から、料理を作ることが好きだった。学生のころは、友達にフルコースをよくふるまったという。